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ラブレター・6 完結






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苦節・・・・  そうまさに苦節・・・・永かった




今、目の前にいる女こそ Yだ  




どれだけ苦しんだだろうか・・・ どれだけ涙を流しただろうか・・・




本気で一時期 学校辞めようと思うほど追い詰められた




逃げ出したかった日々を乗り越えたのは 正に今日、この瞬間のため




ついにラスボスに謁見が許された  









サーチシステム作動!サーチシステム作動!




標的のスキャン開始!迎撃体制準備オールグリーン!




スキャン完了 標的情報の表示




性別 女性   身長 160cm弱    頭髪 ロング 黒髪




年齢 高校生ぐらい  体系痩せ型   見た目 髪の毛が長い事以外とにかく普通




顔 


























ダーウィンの進化論を否定できない顔






















コイツ本当に同じ学校?全く見覚えないな?





こんな毛の長い猿だったら 見覚えの一つもあっていいと思うが・・





ほんとにYか?冷静に考えれば代理を立てている可能性も否定できない





と、フクの脳みそはフル回転してる所に この人話し掛けてきました





「はじめまして・・あの・・手紙だしてたYです」





本人だー 名乗りやがった





さあ、どうする?





本来なら この猿に人間界の秩序を鉄拳で教えてやり




腹を見せ降参のシグナルを出してるところに両膝から突っ込みたい所だが





後々のために素性を洗っておこう   冷静になれ俺よ





「あなたがYさん?俺に手紙くれてた人?」





「はい そうです 手紙・・私です」





「あーそう あんた本当に同じ学校?何年何組?名前は?」





「同じ学校です 1年G組の高橋ミナコっていいます」





G組の高橋ミナコね やっぱ聞いた事無いな・・・・





って おい! おかしいぞ





TakahashiーMinako





俺のローマ字おかしいですか? あってますよね?





Yなんて1文字も入ってねーぞ





YじゃなくてTMだろ





「高橋ミナコさん?Yじゃないの?」





「はい 高橋ミナコです Yです」





Yじゃないよお前 やっぱ何か間違ってるよ





まあ そんな事はどうでもいい





自分の罪深き行為の数々を反省してもらおうじゃないか




「あの・・・」




ん、なんだ?何か言う気か?



















「私、フク君の事 入学した時からずっと好きだったの





仁美さんとは もう別れたんだよね? だったら思い切って言います!





付き合ってください」

























告ってんじゃねーぞ!ゴラァァァァァァァァァ!

























「絶対無理!仁美さんと別れたって お前のせいで半絶縁されてんだよ!お前自分のした事わかってんのか?何が付き合ってだ!お前のせいで彼氏から電話友達に逆戻りされてんだよ!お前は俺の事を好きなのか何なのか知らねぇけど こっちはお前の手紙の文面だけでお前が大嫌いなの!わかる?迷惑なんだよ!俺にも仁美さんにも2度と手紙なんか書くんじゃねぇよ!お前は猿だからわかんねーかもしれないけど人間界では迷惑なんだよ!俺はお前のせいで本気で学校辞めようと思うほど追い詰められてたんだよ!手紙にびっしり書かれた俺の行動記録は何なの?あんなの書けば喜ぶと思ったの?それがお前の愛の形なの?はっきり言って気持ち悪いんだよてめぇ!尾行されて気分がいい人間はいないの!猿の世界では求愛行動かもしれないけど人間の世界では違うんだよ!わかったら今後2度と俺と仁美さんに関わるんじゃねーよ!これでお前の素性がわかったから今後はすぐに警察に相談するよ!警察ってわかる?悪い事するとそこに捕まるんだよ?お前のやってる事は誰が見ても悪い事なんだよー!自覚してねえのはお前だけだ!もう一度言うけど二度と関わるんじゃねーぞ!わかったか!」





























あーあ、切れちゃった





実際はこの10倍ぐらいヒドイ事を言ったと思います。





延々と今までの恨みを 怒りを 怒鳴りまくった





Y いや高橋ミナコに喋る隙は与えない 





怒鳴っていないと 殴り殺したい衝動を押さえられない





ひたすら↑のような事を怒鳴り続けているうちに ある程度 冷静さを取り戻してきた





ふと、高橋ミナコの様子を見ると




突然の怒声に驚いたのか  自分の行いを反省してるのか  





目を丸くしてキョトンとしてます





いくら殴っても飽き足りないやつだが もう素性はわかった いつでも殺れる





これで反省するようなら許そうではないか  人として最後のチャンスをやろう





「じゃあ、本当にもう二度と関わらないで下さい」





と、言い残して去る事に    ところが





「・・・ない」





ん?今何か言ったか? 高橋ミナコの方を見てみると・・





「許せない・・・」





は?許せない?まだ言うか このアフォは ふざけんなよ 





俺がお前を許すかどうかの問題で お前に許しをもらう必要なんてねぇだろ





もう一喝必要だな














「てめぇなあ!まだわから・・・ぐひぃ」
























俺 首絞められてます!















払いのけようにも 殴ろうが 蹴ろうが びくともしない






信じられん これが女の力か? 死ぬのか?俺はこんな所で猿に殺されるのか?





ああ・・力が抜ける・・・死・・・ぬ・・・・
























すると突然 高橋ミナコは飛んだ




























伊藤がハンセンばりのラリアットを食らわせたようです





















既に半落ちの俺に伊藤が声をかけます






「フクっ!フクっ!おい!フクっ!」






「ゲホっゲホっ ハァハァハァっ」





「おお!生きてたかっ!」





「????????」←何が何だかわかってない





「いやーマジで逝ったかと思ったよ」





記憶が蘇ってきた 





「俺は猿に絞殺されそうになって それからどうなった?」





「おう、俺のラリアット食らって逃げていったよ」





「そうかー、いやー怖かった・・・」





「俺も恨みをかったかな?怖ぇ・・・」





「まだその辺にいるかもしれないから とりあえず帰ろう」





なんかフラフラするので 伊藤のバイクの後ろに乗って フクの家へ





帰るなり仁美さんに電話し 事情を説明して 今日は家から一歩もでないようにと注意した





しかしマジか?本気で殺されそうになったよ





首にアザができましたよ こんな事が現実に しかも自分におきるとは・・





思いっきり殺人未遂ですよね?人間キレると何するかわからないですね




翌日 日曜日 高橋ミナコの襲撃におびえ 心配なので




久々に仁美さんと会う  今後しばらくは登下校は一緒にする事にした




あー、怖ぇから 学校行きたくねーけど 行かなきゃなー




一ヶ月ほど怯えながら学校生活を過ごしたが 妙に静かだ




高橋ミナコの姿は見かけない 




俺の所にも 仁美さんの所にも手紙は無い




気になるな・・・




アイツG組って言ってたな   




G組の奴にちょっと聞いてみるか





「ねえねえ、G組に高橋ミナコっていると思うんだけど 知ってる?」





「え?高橋?高橋なんて奴 ウチのクラスにいないよ?」





「はあ?ほんとに?髪の毛、腰ぐらいで 猿みたいな奴なんだけど?」





「さあ?いないと思うよ そんな奴ならすぐわかるでしょ」





そりゃそうだ あの顔はインパクトが強い





一度見たら忘れられない顔だ 





あいつまた嘘か? アルファベットが解らないから間違えたのか?





しらみつぶしに全学年全クラスに聞いて回ったが・・・・・いねぇ





どういう事? 似てる奴はいたが完全に別人だったし





もう意味わからん 同じ学校じゃないの?





そういや手紙に学校での事はあまり書いてなかったな・・・





でも手紙は学校の机の中に入ってたし・・・うーん





高橋ミナコが他校の奴だとしたら ウチの学校に友人がいて





それを中継して手紙のやりとりをしてた・・・って説はどうだろう





まあ、つじつまは合うね でも その友人の特定は無理だな・・





もうわかんね 奴の事は忘れよう もうすぐ冬休みだし





今までの分も仁美さんとあんな事やこんな事するぞー







それから現在までフクは高橋ミナコの姿は見ていない





2学期の終業式 明日から冬休み 




平和だ・・・すごく平和だ・・・・





今までの苦しみが嘘のようだ 





思えば9月の始め頃から手紙が来てたな・・・




あれから3ヶ月ちょっとか・・・・




もっと永く感じたけどな 密度の濃い3ヶ月を過ごしたなー





強制的に精神力を鍛えられたな ありがとう高橋ミナコ





終業式も終わり 教室で通知表をもらってさあ帰ろう





冬休みはクリスマスやら年末年始やら楽しいね 
















まあね、何となく予感はしてたけど









机に入ってました











ラストレターが














捨てようかと思ったけど 表に「最後のお手紙です」って






書いてあるし読んでみるか・・・・







フクくんへ 最後のお手紙です


フク君 ひさしぶりですね 高橋ミナコです


あれからいろいろ考えたんですが


私、フクくんの事を許してあげる事にしました


フクくんは 仁美さんと別れたばっかりで混乱してたんだと思います


それで、私 思ったんだけど 


今はもうフク君のことを好きじゃありません ゴメンね


フク君の気持ちはとっても嬉しいんだけど


なんかもう冷めちゃった感じ


伊藤君に叩かれて 目がさめたみたい


伊藤君って怖そうだけど いい人だね


ちょっといいかも☆


フク君も仁美さんと別れて可愛そうだから慰めてあげたいけど・・


ゴメンナサイ もうそんな気持ちはありません


もうフク君に手紙を書く事はありません 


フク君ならきっとカワイイ彼女が見つかるよ


勝手な事言ってゴメンね   さようなら


























えー、どこから突っ込めばいいでしょうか?





「私、フクくんの事を許してあげる事にしました」





だからね なんで俺が許してもらわなきゃならんの







「フクくんは 仁美さんと別れたばっかりで混乱してたんだと思います」










君のせいで半絶縁されてたんだよ   それに混乱って何だ?




混乱してたのはテメぇだろーが


















死んだ爺さんが手を振ってるのが見えるぐらい首絞めただろ お前


















フク君の気持ちはとっても嬉しいんだけど














これ何て読むの?ママン・・・












伊藤君に叩かれて 目がさめたみたい







叩かれたって あれはハンセンラリアットって言うんだよ☆






伊藤君はね その技でね 柔道部の主将の大男を







秒殺したことがあるんだよ 






ピンピンしてる君ってすごいね☆












「伊藤君って怖そうだけど いい人だね


ちょっといいかも☆」








































スマソ伊藤
















ははは・・・、とにかく もう俺には関わらないようだ・・・





もしかしたら今度は伊藤に手紙が行くかもね





爆笑しながら伊藤に手紙を見せた





「なんだこりゃああああ!」





「ちょっといいかも☆だって ぷぷっ」






「ふざけんなー! 何で俺が・・・俺・・・ああ・・」





「まあ、明日から冬休みだし 最悪でも3学期初めまでは平気じゃない?





尾行には気をつけろよ ぷっ」





こんな落ち込んだ伊藤は、はじめて見た





悪いと思いながら爆笑しちまったよ 





結局 今後 伊藤の所に手紙はこなかったんですが





恐るべし 高橋ミナコ





最後まで どこの誰か、わからなかったな





謎に包まれたまま姿を消していった





しかし 俺はいつまでも 覚えているだろうな





精神的に鍛えられ 恋愛の難しさを教えてくれた





なにより・・・・

























人間キレると何するか わからない事を体当たり教育で指導してくれた















奴も俺と同年代だから今25才前後だと思う







今だに奴の影に怯えてる自分がいる







さすがに もういるわけないと思うが 





ありえない事ばかりを巻き起こす 高橋ミナコに今も少し怯えている










確かな物など何も無いのだから・・・・・

















 









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